納豆売り場を見ていると、ほとんどの商品が白い発泡スチロールのパックに入っています。
軽いし、安いし、扱いやすい。
合理的なのはわかります。
でも私は、たまに見かける経木(きょうぎ)に包まれた納豆が気になります。
薄い木に三角形に包まれた、昔ながらの納豆。
なんとなくおいしそうに見えるんですよね。
実際、下仁田納豆やせんだい屋など、経木を使い続けている納豆メーカーもあります。
そこで疑問。
経木に包むと、本当に納豆はおいしくなるのでしょうか?
木の香りがつくだけ?
発酵そのものが違う?
それとも、昔ながらという雰囲気によるもの?
さらに、
「経木納豆の方が体にいい」なんてこともあるのでしょうか?
前回「日本の三大納豆菌」を調べたことで、今度は容器の方まで気になってしまいました。
今回は、経木納豆と発泡スチロール納豆は何が違うのかを調べてみます。
※関連記事
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結論|経木には意味がある。でも「経木だから全部おいしい」わけではない
先に結論です。
経木は、単に
「昔の納豆っぽく見せるための包装」
ではありませんでした。
経木納豆を現在も製造しているメーカーを調べると、経木には主に、
- 木の香りが加わる
- 適度に湿度を調整する
- 通気性がある
- 自然素材である
- 商品によっては木由来の抗菌性を利用する
といった特徴があると説明されています。
一方で、発泡スチロールにも、
- 温度管理しやすい
- 品質を均一にしやすい
- 大量生産しやすい
- 軽い
- 流通しやすい
という大きなメリットがあります。
つまり、
経木=優秀、発泡スチロール=悪い
という単純な話ではありません。
ただし、納豆の香りや水分、食べたときの印象には、包装材の違いが関係する可能性があります。
ここが今回、一番気になったところです。
そもそも「経木」って何?
経木とは、木を紙のように薄く削った包装材です。
昔は肉や魚、おにぎり、和菓子などを包むのにも使われていました。
現在のラップやプラスチックトレーのような役割ですね。
納豆に使われる経木も、ペラペラの「木の紙」のようなもの。
ただし、使われる木はメーカーによって違います。
たとえば、
下仁田納豆は赤松。
宮城野納豆は、しなの木。
せんだい屋は松の経木。
同じ「経木納豆」でも、実は木まで同じではありません。
これは調べるまで知りませんでした。
ということは、
経木納豆同士でも香りが違う可能性がある?
ますます食べ比べたくなります。
経木納豆と発泡スチロール納豆の違い
違いを簡単に整理すると、こんな感じです。
| 比較 | 経木 | 発泡スチロール |
|---|---|---|
| 素材 | 天然木 | 発泡樹脂 |
| 通気性 | あり | 基本的に低い |
| 湿度 | 木が水分を吸放出する | 容器内に保持しやすい |
| 香り | 木の香りが加わることがある | 容器自体の香りは少ない |
| 製造 | 手作業の商品も多い | 機械化しやすい |
| 品質管理 | 難しい | 比較的しやすい |
| 大量生産 | 不向き | 向いている |
| 見た目 | 昔ながら | 現代的 |
| 環境面 | 木なので最終的に土に還る | プラスチック系素材 |
ただし、
この表だけを見て「経木の方がおいしい」と決めるのは早い
と思います。
なぜなら納豆の味には、容器以外にも
- 大豆
- 納豆菌
- 浸漬時間
- 蒸煮
- 発酵温度
- 発酵時間
- 熟成
など多くの条件が関係するからです。
経木の特徴① 木が「呼吸する」
経木について調べていて、一番よく出てきた言葉が
「呼吸する」
でした。
もちろん木が生き物のように呼吸するという意味ではありません。
薄い木には細かな孔があるため、完全に密閉された容器とは水分の動き方が違います。
下仁田納豆では、赤松の経木について
適度に湿度を調整してくれる素材
と説明しています。
納豆は発酵中、納豆菌が活発に増殖します。
このとき温度だけではなく、水分や酸素なども発酵状態に関係します。
そのため「どんな容器の中で発酵させるか」は、完全に無関係とはいえません。
ただし、
経木で包めば自動的に理想の発酵になる
という意味ではありません。
下仁田納豆の場合、経木だけではなく、発酵室を約40℃に保ち、湿度も管理しながら約20時間発酵させています。
つまり、
経木+温度+湿度+時間+職人による管理
がセット。
経木だけを取り出して評価するのは難しそうです。
経木の特徴② 木の香りが加わる
これは比較的わかりやすい特徴です。
宮城野納豆製造所では、しなの木の経木について、
大豆と木の香りを楽しめる商品
として紹介しています。
せんだい屋も、松の経木を使った納豆について経木の上品な香りを特徴に挙げています。
下仁田納豆も、赤松経木のほのかな松の香りを特徴としています。
つまり、
経木納豆の「香り」はメーカー側も明確に狙っている部分
のようです。
これなら実食でも比較しやすそう。
タレを使ってしまうと醤油やだしの香りが加わるので、食べ比べるなら私はタレなしで確認したいと思います。
- 開封した瞬間の香り
- 木そのものの香り
- 納豆臭
- 口に入れたときの香り
- 食後に残る香り
このあたりを見ると面白そうです。
経木の特徴③ 水分の状態が変わる?
ここも気になるところです。
発泡スチロールのパックは水分を吸いません。
一方、木でできた経木には吸湿性があります。
そのため、経木に包まれた納豆では余分な水分の状態が違ってくる可能性があります。
下仁田納豆も経木について、木の細かな孔によって湿度を調節する素材と説明しています。
ただし、ここも注意。
「経木なら水分量が○%になって、発泡スチロールより必ずおいしくなる」
というような単純な比較データは、今回調べた範囲では確認できませんでした。
だからここは実際に見てみたいところ。
パックを開けたとき、
- 表面が濡れているか
- 水っぽさがあるか
- 豆の表面が乾いているか
- 食べたときにふっくらしているか
は、自分でも比較できます。
発泡スチロールにも大きなメリットがある
ここまで読むと、
「やっぱり経木の方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
でも発泡スチロールについて調べると、こちらにも納豆製造上かなり重要なメリットがありました。
せんだい屋は、自社サイトで経木と発泡スチロールの両方について説明しています。
松の経木は品質管理が難しい一方で風味がよくなる。
それに対して発泡スチロールトレーは、
温度管理しやすく、むらなく仕上がりやすい
ことを特徴として挙げています。
なるほど。
発泡スチロールが広がった理由は、単に「安いから」だけではなさそうです。
納豆は菌による発酵食品。
温度条件が違えば、発酵状態も変わります。
毎日大量の商品を同じ品質で出荷しようとすれば、
温度を管理しやすく、品質を揃えやすい容器
には大きな意味があります。
そう考えると、
経木=昔ながらの手作り
発泡スチロール=大量生産
というより、
目指している製造方法が違う
と考えた方がよさそうです。
「経木だから天然の納豆菌」は間違い
ここは私自身、最初に少し勘違いしそうになったところです。
経木に包まれた納豆を見ると、
「昔ながらだから、木についている天然の菌で発酵しているのかな?」
と思いませんか?
でも、現在販売されている経木納豆の多くはそうではありません。
たとえば下仁田納豆では、
蒸した大豆に納豆菌を散布してから経木に詰めて発酵させています。
宮城野納豆でも、納豆菌を大豆に付けたあと、しなの木の経木に包んで発酵させます。
つまり、
経木=菌の供給源
ではなく、
納豆菌を接種した大豆を発酵させるための包装材
と考えた方が正確です。
昔の藁づと納豆とは、ここが違います。
経木には抗菌作用がある?
下仁田納豆では、赤松経木について松ヤニ由来の抗菌成分もメリットのひとつとして挙げています。
昔から経木が肉や魚など食品の包装に使われてきたことを考えると、興味深い部分です。
ただし、
「経木納豆を食べると、その抗菌作用によって健康効果が高くなる」
という意味ではありません。
包装材として菌の増殖を抑える性質があることと、人が食べたときの健康効果は別の話です。
「天然だから体にいい」と一気に結びつけない方がよさそうです。
経木納豆の方が健康にいい?
では結局、
経木納豆と発泡スチロール納豆では健康効果も違うのでしょうか?
今回調べた範囲では、
経木包装だから納豆の健康効果が明確に高くなる、と判断できる根拠は確認できませんでした。
納豆の栄養や発酵成分には、
- 大豆の種類
- 納豆菌の菌株
- 発酵条件
- 保存条件
などが関係します。
包装材も発酵条件の一部ではありますが、
経木=栄養価が高い
とは言い切れません。
なので私は、健康面で経木を選ぶというより、
「味や香り、食感が好きかどうか」
で選ぶのが一番自然だと思いました。
現在も買える経木納豆を調べてみた
せっかくなので、現在も経木を使っている納豆を調べました。
下仁田納豆|赤松の経木
群馬県の下仁田納豆。
私が今回、経木について調べるきっかけになった商品のひとつです。
下仁田納豆では、群馬県桐生市で作られた赤松の経木を使用しています。
蒸した大豆に納豆菌を散布し、手作業で経木に詰め、約40℃に保った発酵室で約20時間発酵。
しかも発酵室の熱源には、現在も備長炭を使っています。
かなり独特な製法です。
赤松の香り、水分状態、豆のふっくら感。
これは実際に確認してみたい納豆です。
宮城野納豆|しなの木の経木
前回の「三大納豆菌」の記事からつながるのがこちら。
宮城野納豆製造所では、**三大納豆菌のひとつ「宮城野株」**を使用しています。
そして「宮城野納豆(三角)」は、しなの木の経木で包まれています。
つまり、
使用菌がわかる+経木
という、今回の調査にはかなり面白い商品。
経木の違いだけでなく、今後予定している「三大納豆菌の食べ比べ」にも使えそうです。
せんだい屋|松の経木
山梨県の納豆工房せんだい屋も、昔ながらの経木納豆を作っています。
「甲斐駒」などは、職人がひとつずつ松の経木に包んで製造。
せんだい屋自身が、
経木は品質管理が難しい一方、風味の良い納豆ができる
と説明しています。
さらに同社は発泡スチロール商品も製造しているため、
経木と発泡スチロールの両方を知っているメーカー
というのも興味深いところです。
3社だけでも「経木」が違っていた
ここまで調べただけでも、
| メーカー | 経木 |
|---|---|
| 下仁田納豆 | 赤松 |
| 宮城野納豆 | しなの木 |
| せんだい屋 | 松 |
と違いがあります。
これを見て新しい疑問が出てきました。
「木の種類で、納豆の香りも変わるのでは?」
もしそうなら、
「経木VS発泡スチロール」
だけではなく、
「赤松VSしなの木VS松」
という食べ比べまでできそうです。
ただ、メーカーごとに大豆も納豆菌も製法も違います。
そのため味の違いが木だけによるものとは判断できません。
でも、
実際に食べて感じた違いを記録すること
には意味がありそうです。
経木納豆を食べ比べるなら、ここをチェックしたい
次回の実食では、単に
「おいしい・おいしくない」
だけで終わらせず、以下を比較してみたいと思います。
① 開封した瞬間の香り
納豆臭が強いのか。
木の香りを感じるのか。
発泡スチロールの納豆と違うのか。
② 豆の水分
表面がしっとりしているのか。
水っぽいのか。
少し乾いた感じなのか。
③ 豆そのものの味
私は納豆にタレを使わないので、ここはかなりわかりやすいはず。
大豆の甘みやうま味を確認します。
④ 糸引き
糸の量だけではなく、
- 細い
- 太い
- 強い
- 切れやすい
なども見てみます。
⑤ 食感
ふっくらしているのか。
硬めなのか。
皮が気になるのか。
⑥ 木の香り
これが一番楽しみ。
本当に口の中で経木の香りを感じるのか確認したいと思います。
結論|経木は「雰囲気だけ」ではなかった。でも優劣は食べてから
調べる前は、
「経木納豆って、昔ながらでおいしそうに見えるだけなのでは?」
と少し思っていました。
でも調べてみると、
- 木ならではの通気性や吸湿性
- ほのかな木の香り
- 発酵中の水分環境
- 天然素材としての特徴
など、包装材としてちゃんと意味があることがわかりました。
一方で、
発泡スチロールにも温度管理しやすく、むらなく発酵させやすいというメリットがあります。
だから、
「昔ながら=絶対に上」ではない。
ここは大事だと思います。
また、
経木だから栄養価が高い、健康効果が高い
と判断できる根拠も、今回の調査では確認できませんでした。
では、なぜ今でもわざわざ手間のかかる経木納豆を作り続けるメーカーがあるのか。
やっぱり最後は、
味と香りを実際に確かめてみないとわからない。
という結論になりました。
まず食べてみたいのは、
下仁田納豆、宮城野納豆、せんだい屋。
しかも宮城野納豆なら、前回調べた三大納豆菌のひとつ「宮城野株」まで確認できます。
タレは使わず、
豆・香り・糸引き・食感・経木の香り
をそのまま比較してみたいと思います。
調べれば調べるほど、納豆は「大豆を発酵させただけの食品」ではないことがわかってきました。
菌の次は容器。
その次は、実食です。
※この記事はメーカー公式情報および納豆製造に関する公開資料をもとに調査しています。経木による香りや食感の感じ方には個人差があります。
参考にした主な資料
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