
キムタクこと、元SMAPの木村拓哉さん主演ドラマ「ギフト」は、1997年4月16日から6月25日にフジテレビの毎週水曜日「水曜劇場」枠で放送されていた社会派のサスペンスドラマです。
このドラマ「ギフト」は、当時恋愛ドラマばかり放送されているなかで、異色のサスペンスドラマだったこともあり、個人的には毎週楽しみにしていたのです。
しかし、1998年1月に起きた、黒磯教師刺殺事件(栃木女性教師刺殺事件)が原因で、地上派で再放送されないどころか、動画配信すらされていない、いわばお蔵入りのドラマのひとつとなっているのです。
今回は、ドラマ「ギフト」が放送禁止になったとされる黒磯教師刺殺事件(栃木女性教師刺殺事件)について紹介したいと思います。
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事件の概要

1998年1月28日午前、栃木県黒磯市埼玉にある市立黒磯北中(事件当時生徒数467人)で英語担当のK教諭(26)が、校舎内で同校1年の男子生徒H(13)にナイフで腹や胸など少なくとも7ヶ所を刺され、失血のため死亡した。
黒磯署は男子生徒を補導し、児童福祉法に基づいて同日午後、県北児童相談所に通告、同相談所は男子生徒を宇都宮家裁に送致した。
黒磯署の調べに対し男子生徒は「注意されたのでナイフで脅そうとしたが、驚かないのでカッとなって刺した」などと供述していた。
事件の詳細
事件の詳細を見ていきましょう。
以下の記事は、少年事件資料 黒磯中学校女教師殺害事件 – ウェイバックマシン(1999年10月11日アーカイブ分)を参考にしています。
事件発生2、3週間前
黒磯市内で後に凶器となるバタフライナイフを購入。
ドラマ「ギフト」の影響を受け、かっこいいのでいつも持ち歩いていたという。
事件後、栃木県警は18歳未満の青少年にナイフなどの刃物を販売しないよう販売店に対して、販売自粛を呼びかけた。
事件当日 1998年1月28日2時限目
国語の授業が終わる。
男子生徒は「気分が悪い」と、同じクラスの友人と保健室へ向かう。
保健室で「頭が痛い、気分が悪い」と養護教諭に訴えるも、体温を測り、症状を聞いたところ、授業を休むほどではないと養護教諭が判断し、授業に戻るよう促す。
事件当日 1998年1月28日 3時限目
男子生徒は授業にでる途中でトイレに立ち寄り、さらに友人と雑談をしていた。教室に入ってきたのは授業が始まってから10分以上は経っていたという。
K教諭の最初の注意。みんなの前で声を上げた。
K先生「トイレにはそんなに時間はかからないでしょう」
クラスメイトの話によると、K教諭から注意をされた後、男子生徒は無造作に着席すると、ノートの音を大きく立てて開き、シャープペンの芯を出さないまま文字のようなものを書き、ノートを破いていたという。
授業が進むと、近くの生徒とマンガの話題などについて雑談をはじめ、教諭から「静かにしなさい」と再び叱られた。
すると「途端にむかついた様子で、先生を睨んでいた」(友人談)
授業が終わる直前になって、生徒は教壇の方向をにらみつけて「ぶっ殺してやる」と言ったという。
これを聞いた友人は、一瞬驚き、半信半疑で「やめろ、殺すな」と言ったという。
男子生徒のひと言は、K教諭には届かないほど小さかったという。
事件当日 1998年1月28日 3時限目終了
3時間目の英語の授業が終わるとK教諭は男子生徒と友人を「ちょっときな」と廊下に呼び出す。
そして再び注意した。
K先生「先生、何か悪いこと言った?」
男子生徒「言ってねえよ」
K先生「ねえよっていう言い方はないでしょう。」
男子生徒「うるせえな」
男子生徒はそう言いながらナイフを学生服の右ポケットから取り出し、向き合うK先生の左首筋のあたりに当てた。
K先生はひるまずに言い返した。
「あんた、なにやってるのよ」
「(ふ)ざけんじゃねえ」
男子生徒はそう言いながら、教諭の腹を刺した。
K先生は前のめりになって倒れた。この間、約5分。
K教諭は救急車で運ばれたが、約10センチのナイフで数カ所を刺され失血により死亡した。
黒磯署が男子生徒を補導。
警察の事情聴取などに対し男子生徒は次のように供述していた。
「脅かしてやろうと思ってナイフを取り出した」
「カッとなっておなかの近くを刺したとまでは覚えているが、後は夢中だった」
事件当日 1998年1月28日午後
黒磯署が県北児童相談所に男子生徒が「殺人行為をした」旨を通告。
同児童相談所は男子生徒を宇都宮家裁に送致する。
宇都宮家裁は男子生徒の身柄を宇都宮少年鑑別所に収容する監護措置をとった。
少年法にもとづく処分が適用された。
事件2日後 1998年1月30日
事件のあった黒磯北中では生徒の所持品検査が行なわれた。
拒否してもいいと生徒側に告げたが、拒否した生徒はひとりもいなかった。
そして、ナイフを持った生徒はひとりもいなかった。
1998年2月24日
宇都宮家裁(島田充子裁判官)が男子生徒を教護院送致を決定する。
処分理由は次の通り
「少年はいまだ事件の重大さや深刻さを十分に理解できてない面があると見受けられ、生命の尊さを教えて、今後どのように生きて行くべきか学ばせることが必要だ」
生徒の心理状態
「思春期特有の心理的不安定さに加え、昨年5月から膝の病気のために激しい運動を禁止されていたため、保健室利用などが増えてストレスがたまっていた」
「感情を制御できない状態にあったが、K教諭に日頃から反感を持っていたわけではなかった。」
ナイフを所持した理由
「俳優がナイフを使っているのを見て格好いいと思い、級友に自慢できるので学校に持っていった」「少年にはナイフで他人を刺すという気はなかった」
被害にあったK教諭とは?

事件に遭ってしまったK教諭とはどんな人物だったのでしょうか?
事件に遭ったのは教員になって4年目
「子供が好きでたまらないから先生になりたい」
K教諭(26)は、長年の親友にこう語っていたという。
事件に遭ったのは都留文科大学卒業後、教員になって4年目のことだった。
教員になって3年目に黒磯北中に赴任し、多くの生徒から慕われていた。
同校のとある2年生によると「優しく明るい。でも怒るときは怒る。休み時間にも生徒に近づいてきてくれるから悩みをうち明けられる」と言った。
「優しいなかにも、だめなものはだめ、と厳しかった」と教え子たちが振り返る信念の持ち主だった。
事件の前年には息子を出産

事件に遭う1年前に、第1子となる男の子を出産している。
友人の話によると「担任を受け持ちたいから」と1997年4月に復職していた。
「いいクラスにしようね」と何度も生徒に呼びかけた。
「私もみんなと一緒に変わる」と中学以来伸ばしていた長い髪をばっさり切ったこともあったという。
部活の顧問も熱心に
K教諭は英語を担当する傍ら、部活の顧問を務めていた。
テニス部OBの高1男子によると、この生徒が在籍していた当時に副顧問を務め、教諭自身は初心者だったが、部をまとめみんなを励ますことが多かったという。
1997年4月の復帰後にはバレー部の顧問を務めていた。
頑張ればほめて、自分のことのように一緒に喜ぶし、負ければ励ます。
「先生の嬉しがる顔が忘れられない」とある女子生徒は言った。
英語を担当

担当する英語の授業も「笑顔でわかりやすく説明してくれるので英語が得意になった」(OBの高一男子)と生徒に評判が良かった。
男子卒業生(17)「授業にメリハリがあった。聞いていておもしろかった」と振り返る。
そして「ふざけたりさぼったりすると、きっちりと怒られた。だめなことはだめ、とはっきり言う性格だった」
複数の教え子の話では、授業の遅刻、宿題を忘れること、私語の3つに関しては表情が一変するのがはっきりわかった。
1年生の女子生徒も「なにやってるのよぉ、と語尾を伸ばして大きな声で注意することがよくあった」と話す。
事件の直前、K先生にとって「許されないこと」が続いた。
しかし相手は「怒られるとキレル」生徒だった。
二人の鋭い衝突は周囲の生徒からは「いつもと違う」と不思議がった。
加害男子生徒の人物象は?
ここからは加害男子生徒について見ていきましょう。
補導歴や問題行為などのない「良い子」「おとなしい子」
塩山元久校長によると加害男子生徒は、まじめで目立たず、不良とつきあうワルではないという。
加害男子生徒が所属していた運動部の1年先輩も「一人、静かに教室に座っているタイプ」と話す。
しかし、一方でクラスではこういった意見もあった。
「大きな問題は起こしたことはないが、気が短くて怒りっぽく見えた」
中学校で把握する限り、問題行動も全くなく、成績も中位だったという。
いつも雑談する友人はクラスで5人ほどいたが、仲間のリーダー格というわけでもなかった。
家族は、両親と祖父、兄弟3人の6人家族で、小学生の頃は部活動に励んでいた。
事件当時精神的に不安定だった
加害男子生徒は、事件以前から精神的に不安定な部分があったという。
1997年6月と7月に、それぞれ4日連続で学校を休んだことがあったという。
「テストが不安」と母親に漏らしたことから、担任が5回家庭訪問し「がんばれ」と励ましたという。
その後は保健室に行くことが増えたという。
保健室に通い始めたのは膝を痛めて運動部の活動をやめた2学期からで、2学期には8回、3学期に入ってからは6回ほど保健室に通っていたという。
たいてい「具合が悪い」「めまいがする」という理由だったが、体温を測ると平熱であることが多かったという。
養護教諭は「精神的に不安定」と判断し、担任がたびたび男子生徒宅へ家庭訪問したこともあったとか。
「むかつく」とはしばしば言っていた
加害男子生徒の友人によると「むかつく」という言葉はしばしば聞いたことがあったが、事件の直前に言った「殺す」という表現は初めてだった。
K先生は刺される直前に加害男子生徒を再三にわたって注意したが「ふだん先生に注意されたことがないのに、2度も注意が続いて切れたんじゃないか」と別の友人は言っている。
また「1人を3回も怒るK先生を初めて見た」という女子生徒もいた。
一方ある男子は「珍しく彼が何度も怒られているので、キレルなあ、と思っていたら、やっぱりキレた」という。
友人が「ぶっ殺してやる」という生徒のつぶやきを聞いてから事件が起きるまでわずが10分も経っていなかった。
カッコよかったので
なぜバタフライナイフを持っていたのかという警察の問いに対し、生徒は「カッコよかったので」と語った。
刃渡り約10センチの「バタフライナイフ」とよばれるナイフを2、3週間前に黒磯市内で買ったという。
学校で、他の生徒に見せびらかしたこともあったという。
これに関連して、事件前後に男子生徒のクラスで少なくとも3人がナイフを持って登校していたことが分かっている。
黒磯北中では、昨年6月にナイフやカッターなどを持って登校し、腕に文字を刻む遊びが流行っていたため、各家庭に禁止を呼びかける通知を出していた。少年漫画の影響と見られている。
生徒の両親に8200万円賠償命令
栃木県の黒磯市立黒磯北中学校で1998年1月、K教諭=当時(26)=が1年生だった男子生徒にバタフライナイフで刺殺された事件をめぐる賠償命令は次のようなものでした。
1999年4月、K教諭の遺族が、加害男子生徒の両親を相手取り、1億3800万円の損害賠償を求めていた民事訴訟の判決が2004年9月15日に宇都宮地裁(羽田弘裁判長)で言い渡されました。
宇都宮地裁は少年の責任能力を認め、羽田裁判長は生徒の両親に対し、少年の両親にも共同不法行為責任があると認定し、総額約8200万円を原告に支払うよう命じたのです。
一方、黒磯市との間では平成2002年3月、市側が「教職員が生徒の暴力で生命、身体の安全を脅かされる危険があるにもかかわらず、安全を守る具体的方策が取られていない」という現状を認めたうえ、賠償責任を負わないことなどで和解が成立している。
#先生死ぬかも
— くぼたあやか(仮名) (@XZZ8rtqBaKZtUZw) August 14, 2020
小2にバットで右頭部を殴られて脳震盪後遺症(mtbi)という障害を負い障害者になりました。警察からは「死ななかったのが奇跡」と言われました
教諭になるために大学院まで進学したのに今は非常勤講師です。病院が東京にしかなく低賃金なので貯金すらできない
こんな思いして欲しくない
黒磯教師刺殺事件(栃木女性教師刺殺事件)は社会に与えた影響が大きい事件だった
この黒磯教師刺殺事件(栃木女性教師刺殺事件)に関して調べていくと、K教諭の死の原因が彼女の教師としての資質にあると言われているように感じました。
どこか違和感のある論者が多いなぁ…という印象です。
栃木女性教師刺殺事件、気になったから調べたけど恐ろしいな…
— 8月32日 (@setu7a) August 14, 2020
しかも、これで教師の注意が悪かったとか教師批判されるのか…刺されても同情ところか、死んでもお門違いに批判される。狂ってる。 pic.twitter.com/siEQoDydZN
K教諭の「先生なにか悪いこと言った?」といった発言が、高圧的で思春期の子どもたちへの配慮を欠いた感情的な叱責だったとか、多感で悩みを抱えた少年を発作的で衝動的犯罪に走らせたとかいう意見が散々していました。
また、夫の郷里での勤務という家庭事情や本人の勝気で強烈な職業意識の結果、育児のストレスが悪いかたちで教育現場に持ち込まれたという真実とは思えないような議論までありました。
しかし一方で、被害者への客観的評価や全体的情報がないまま、事件直前の言動をことさら否定的にとりあげ、子どもたちの反発をうけて当然の嫌悪すべき教師像をつくりあげているとの反論もありました。
疑問に思う中みつけたK教諭の大学時代の恩師である教授が書かれた文章を最後に載せておきます。
コメント
俺「ギフト」見たけど、これといった「ナイフシーン」は無かった。それに、ナイフって
人を脅すのに使う最低な道具だと思う。料理に使うか、仕事の作業で使う以外に刃物は
使う必要がないと私は思います。彼は5000円も出してナイフを買ったんですよね。
この時点で、まず「おかしい」です。俺だったらゲームを5個買います。彼は、買ったナイフに使い道があまりにも無いため、「教師殺人」をしたと思います。もし彼が5000円を焼肉食べ放題とか、ラーメン屋でラーメン食べたり、お寿司を食べたりとかで使えば、絶対にあんな事をしないでしょう。